書いた文章を読み返すと、たいてい、言葉が多すぎます。ていねいに書こうとするほど、よけいな言葉が増えていくからです。でも、言葉は、足すほど伝わるわけではありません。むしろ、逆です。いらない言葉を削るほど、言いたいことがはっきりします。

ここでは、削る対象を、三つ。多すぎる副詞、まわりくどい二重否定、意味の重なった二重表現。順に、見ていきます。

多すぎる副詞を、減らす

副詞というのは、程度や様子を表す言葉です。「とても」「すごく」のように、ほかの言葉を強めます。便利なので、つい重ねたくなります。でも、いくつ並べても、具体的にはなりません。

まず、つい使いがちな副詞を、挙げておきます。

重ねがちな副詞
とても、すごく、かなり、非常に
だいぶ、ずいぶん、本当に、めっちゃ

たとえば、こう書いたとします。

このカレーは、とてもおいしくて、すごく辛くて、かなり本格的です。

熱意は、伝わります。でも、どうおいしいのか、どれくらい辛いのかは、分かりません。副詞を、具体に置きかえます。

このカレーは、スパイスの香りが立っていて、額に汗がにじむ辛さです。

「とても」も「すごく」も、消えました。かわりに、どんな味かが見えてきます。

見つけ方:「とても」「すごく」を探して、消すか、具体的な言葉に変えます。消しても意味が通るなら、たいてい、いりません。

二重否定を、言い切りに変える

二重否定というのは、否定を二つ重ねた言い方です。「少なくない」「できないことはない」のように、否定を、さらに否定します。読み手は、頭の中で二回ひっくり返すぶん、受け取るのが遅くなります。言い切りに、変えます。

× 二重否定○ 言い切り
少なくない多い
できないことはないできる
知らないわけではない知っている
やりたくないわけではないやりたい
関係がないとは言えない関係がある

すっきりしました。意味は、ほとんど同じです。なのに、ひと息で入ってきます。

二重否定が役に立つのは、わざと、やわらげたいときだけです。はっきり「多い」とは言いたくない場面。それ以外は、言い切ったほうが、強く、速く伝わります。

見つけ方:「〜なくない」「〜ないわけではない」を探します。言い切れるなら、言い切ります。

二重表現を、削る

二重表現というのは、同じ意味が重なった言葉です。「重言(じゅうげん)」とも呼びます。「頭痛が痛い」の「頭痛」と「痛い」のように、片方で足りる意味が、二回入っています。

× 二重表現○ 直したもの
まず最初にまず
いちばん最後最後
違和感を感じる違和感がある
あとで後悔する後悔する
各家庭ごとに各家庭
今現在今(または 現在)
約10分ほど約10分(または 10分ほど)
一番ベストベスト

削っても、意味は変わりません。むしろ、すっきりします。

見つけ方:似た意味の言葉が、隣り合っていないか、探します。「車に乗車する」「馬から落馬する」。後ろの言葉に、前の意味が、すでに入っていないか。そこを、疑います。

削るのは、勇気が要ります。せっかく書いた言葉を、消すのですから。でも、削った文章のほうが、たいてい、強くなります。残った言葉が際立つからです。書き終えたら、一度、減らせないかと疑ってみてください。