会社が、何十万円もの研修費を払って学んでいる「考える力」。その中身は、それほど特別なものでしょうか。じつは、同じものが、毎週、無料で見られます。気づいている人は、ほとんどいません。
授業参観に行けない方は、一度、Eテレを見てください。チャンネルを変えるだけです。受信機の前にいるだけで、届きます。スマホもPCも、要りません。
Eテレで、何が流れているか
子供たちが地域の課題を自分で見つける番組。答えのない問いを、子供同士で議論する番組。歴史上の人物の判断について、自分の意見を出し合う番組。ミクロの世界を、子供自身が顕微鏡で撮影してまとめる番組。
低学年向けの番組には、確かに子供っぽさがあります。でも、義務教育以上を扱う番組、算数、数学、情報、経済を扱う番組では、「考えること」にシフトしています。見応えがあります。
私自身、見ていて何度も「これは、どこかのセミナーで聞いたことがあるなあ」と感じました。言葉で考えている子供たち。みんなで話している子供たち。見方が、変わっています。会社が大金を払って学んでいることが、Eテレに流れている。しかも、子供にもわかる形で。これが、今の現実です。
「NHKなんか」と鼻で笑う人には、2種類います
ここまで読んで、「NHKなんか、子供向けの番組じゃないか」と感じた方が、いるかもしれません。鼻で笑う気持ちは、わかります。
ただ、ここで一つ、面白いことがあります。「NHKなんか」と鼻で笑う人には、2種類いるのです。
一人目は、すでに身についている人です。考える力の土台が、自分の中にもう備わっている。だから、子供向けの番組を見て、「こんなもの、当たり前じゃないか」と感じる。学ぶ意味が、わからない。だから、笑う。
二人目は、身についていない人です。見ても、何の感想も生まれない。何が大事なのか、ピンとこない。だから、「子供向けだろ」と笑うしかない。
同じ番組を見て、片方は「もう知っている」と思い、もう片方は「何も感じない」と思う。中間が、いません。これが、考える力がある人と、ない人の、決定的な差です。
「意図がある」と知って見る
Eテレの番組は、子供向けです。でも、作っているのは、プロです。映像のプロ、教育のプロ、コンテンツ設計のプロ。何人もの大人が、子供にもわかる形で、考える力の本質を、映像にしています。
ただし、NHKは、わざわざ「この番組には、こういう意図があります」とは言いません。意図を理解させるのが目的ではなく、意図を込めた設計が、子供の中に自然に入ること。それが、目的だからです。
ここに、見る側の分かれ道があります。「意図がある」と知って見るのと、知らずに見るのとでは、見えるものが全く違うんです。
「これにはきっと意図がある」と思って見る人は、設計を読み解こうとします。なぜ、この順番で話が進むのか。なぜ、この場面でこの問いを投げるのか。なぜ、子供にこの言葉を使うのか。意図を読み解こうとする姿勢そのものが、考える力を育てます。一方、「ただの子供向け番組」として見る人は、何も読み解こうとしません。だから、惰性で終わる。
同じ番組を見ても、読み解く人と、表面だけ見て流す人で、得るものがまるで違います。
試しに、10分
経営者の方、管理職の方。試しに、Eテレを10分だけ見てみてください。
そして、自分がどちらに属するかを、自分で確かめてみてください。「もう知っている」と感じるのか。「何も感じない」のか。それとも、「この番組には、どんな意図が込められているんだろう」と、読み解こうとするのか。
そこに、自分の今の立ち位置が出ます。
出典
- NHK Eテレ/NHK ONE for School(2025年10月移行)
- OECD PISA 2022調査結果/国立教育政策研究所(日本はOECD加盟37か国中、数学的リテラシー1位、読解力2位、科学的リテラシー1位)
