一文がまっすぐになったら、次は、中身です。何を伝えたいのか。それがぼやけていると、どれだけ整えても、響きません。まず、何を伝えたいのかを、一つに決めます。
一つの記事に、テーマは一つ。欲張ると、何も残らない
一つの記事に書くテーマは、一つだけにします。読み手は、知りたいことが一つあって、たどり着いているからです。それ以外の話は、たとえ良い内容でも、その人には邪魔になります。
たとえば、「朝の散歩で頭が冴える」というテーマで書くとします。書いているうちに、いろいろ足したくなります。でも、足していいものと、いけないものが、あります。
| このテーマで書くこと | 別の記事に回すこと |
|---|---|
| なぜ朝の散歩で頭が冴えるのか | 朝食におすすめのレシピ |
| いつ、どのくらい歩くといいか | 通勤中に聴きたいラジオ |
| 続けると、何が変わるか | 午前中の仕事のはかどらせ方 |
右の三つは、どれも良い話です。でも、この記事に入れると、「結局、何の記事だった?」となります。読んだ人の印象が、散らばってしまうからです。
絞り方:書く前に、一つ、決めます。「この記事で伝えたいことは、これ一つ」。そう決めてから、書き始めます。途中で別の話を入れたくなったら、それは、もう一本の記事のタネです。別に、取っておきます。
結論を先に出せば、読み手は迷わずついてくる
日本語は、最後まで読まないと、結論が分かりません。「〜だが、〜で、〜なので、結局こうです」と、答えが文の終わりに来るからです。話し言葉なら、それでもかまいません。でも、読み物では、読み手を不安にさせます。
たとえば、こんな連絡を受け取ったとします。
お世話になっております。先日ご相談いただいた件ですが、社内で検討を重ね、関係する部署にも確認を取りまして、いろいろと調整した結果、今回は見送らせていただくことになりました。
最後まで読んで、やっと「見送り」だと分かります。読んでいる間、相手は「で、どうなったの?」と、そわそわします。
結論を、先に出します。
先日の件は、今回は見送らせていただくことになりました。社内で検討し、関係部署にも確認した結果です。
先に答えを置くだけで、読み手は安心して、理由を読めます。ゴールが見えているマラソンと、ゴールの見えないマラソン。走りやすいのは、どちらか。言うまでもありません。
記事でも、同じです。段落のあたまに、その段落で言いたいことを置きます。理由や具体例は、そのあと。この順にするだけで、読み手は迷わず、最後までついてきます。
理由と具体例があれば、主張は腑に落ちる
主張だけでは、人は納得しません。「なぜ?」が、残るからです。そこを埋めるのが、理由と具体例です。流れは、いつも同じ。「結論 → 理由 → 具体例」の順で、並べます。
たとえば、「早起きはいい」と言いたいとき、こう組み立てます。
| 役割 | 書くこと |
|---|---|
| 結論 | 早起きは、いいですよ。 |
| 理由(「なぜ?」を消す) | 朝は、誰にも邪魔されない時間が持てるからです。 |
| 具体例(情景を見せる) | 私は六時に起きて、コーヒーを淹れて、三十分だけ本を読みます。メールも通知も来ません。この時間が、一日でいちばん頭が動きます。 |
結論だけのときと、読み比べてみてください。理由がつくと「だからか」と納得でき、具体例がつくと、自分の朝に置きかえて想像できます。伝わり方が、まるで違います。
点検の仕方:書き終えたら、自分の主張に、二つ、聞いてみます。「なぜ?」「たとえば?」。この二つに答えられれば、その一節は、ちゃんと伝わります。
あいまいな数字は、読み手を置き去りにする
「最近」「かなり」「10年前」。書いているときは、分かったつもりです。でも、読み手には伝わりません。いつの、どれくらいの話なのか。あいまいなままだと、読み手は、そのつど想像で補うことになります。
はっきりした数字と日付に、置きかえます。
| × あいまい | ○ 具体的 |
|---|---|
| 最近、増えています | 2024年に入ってから、増えています |
| かなり安くなった | 半額になった |
| ずっと前のこと | 高校生のころのこと |
| 10年前は〜だった | 2016年は〜だった |
右のほうが、たしかに伝わります。数字と日付には、ごまかしの効かない強さがあるからです。
日付には、もう一つ、いいことがあります。古びない、ということです。「10年前」と書くと、読まれた年によって、指す時期がずれます。でも「2016年」と書けば、いつ読まれても、同じ年を指します。あとから読み返しても、ずれません。
置きかえの目安:数えられるものは、数で。時期は、年や月で。それだけで、文章は、ずっと信用されるようになります。
何を伝えたいのか。一つに絞り、結論を先に出し、理由と具体例で支え、数字と日付でたしかにする——そこまでやれば、中身は、ぼやけません。中身がはっきりした文章は、読み手の中に、ちゃんと残ります。