文章は、一文の積み重ねです。その一文がぐらついていると、どれだけ良いことを書いても、伝わりません。だから、まず手をつけるのは、一文です。主語と述語、長さ、修飾語の位置。この三つを見直すだけで、一文は、ぐっとまっすぐになります。
主語と述語がかみ合えば、一文はすっと通る
まず、主語と述語とは、何か。
- 主語:「何が」「何は」にあたる言葉
- 述語:「どうした」「どんなだ」「何だ」にあたる言葉
この二つで、一文ができています。「私が(主語)、走る(述語)」。「空は(主語)、青い(述語)」。だから、この二つがかみ合っていないと、意味が通りません。
合っている例から、見てみます。
私の趣味は、山登りです。
「趣味は」(主語)と「山登りです」(述語)が、きれいに対応しています。問題は、次のような一文です。
| × ずれている | ○ 直したもの |
|---|---|
| 私の仕事は、子どもに英語を教えています。 | 私の仕事は、子どもに英語を教えることです。 |
| 私の目標は、来年、自分の店を持ちたいです。 | 私の目標は、来年、自分の店を持つことです。 |
| この本のいいところは、最後まで一気に読めます。 | この本のいいところは、最後まで一気に読めるところです。 |
左の一つ目を、声に出して読んでみてください。「仕事は……教えています」。仕事が、英語を教えるわけではありません。教えているのは、私です。主語と述語が、かみ合っていません。これが、ずれです。
このずれは、書いているときには、なかなか気づきません。自分の頭の中では、つながっているからです。でも、読み手には、つながって見えません。
見つけ方:書き終えたら、一文から、主語と述語だけを抜き出して、続けて読みます。「仕事は……教えています」。声に出すと、すぐ、おかしいと分かります。
一文を短く切れば、それだけで読みやすくなる
一文が長いと、何を言いたいのか、途中で見えなくなります。書いている本人は、気持ちよく進めます。でも、読み手は、置いていかれます。読みにくい文章の、いちばん多い原因が、これです。
たとえば、こんな一文です。
先週末に友人から急に連絡が来て久しぶりに会うことになったのですが店をどこにするか二人とも決められずあれこれ調べているうちに時間ばかり過ぎてしまいました。
言いたいことは分かります。でも、長すぎます。どこが山場なのか、見えません。読み終わるころには、最初の話を忘れています。
短く切ると、こうなります。
先週末、友人から急に連絡が来て、久しぶりに会うことになりました。でも、店をどこにするか、二人とも決められません。あれこれ調べているうちに、時間ばかり過ぎてしまいました。
同じ中身です。なのに、すっと入ってきます。特別なことは、していません。ただ、切っただけです。
切る目安は、一文に、内容は二つまで。そして、次のような言葉が出てきたら、そこが切れ目の合図です。
| 切れ目の合図になる言葉 |
|---|
| 〜ので、/〜から、/〜ため、 |
| 〜したが、/〜だが、/〜けれど、 |
| 〜して、/〜していて、 |
これらが一文に二つ三つと出てきたら、たいてい、切れます。思い切って、句点を打ってください。それだけで、ずっと読みやすくなります。
修飾語を、かかる言葉のそばに置けば、迷わせない
修飾語と被修飾語、という言葉があります。
- 修飾語:ほかの言葉を、くわしく説明する言葉
- 被修飾語:その説明を、受ける言葉
たとえば、「冷たいお茶をごくごく飲みました」を分けると、こうなります。
| 冷たい | お茶を | ごくごく | 飲みました |
|---|---|---|---|
| 修飾語 | 被修飾語 | 修飾語 | 被修飾語 |
「冷たい」が「お茶」をくわしくし、「ごくごく」が「飲みました」をくわしくしています。この修飾語が、説明したい言葉から離れていると、読み手は、どこにかかるのか迷います。
たとえば、こんな一文です。
すぐに来た友人に、お礼を言いました。
「すぐに」は、何にかかっているでしょうか。友人が「すぐに来た」のか。私が「すぐにお礼を言った」のか。二通りに、読めてしまいます。
伝えたい意味で、置く場所を変えます。
| 伝えたいこと | 直したもの |
|---|---|
| 友人が、すぐ来てくれた | すぐに来てくれた友人に、お礼を言いました。 |
| 私が、すぐお礼を言った | 来てくれた友人に、すぐにお礼を言いました。 |
同じ「すぐに」でも、置く場所で、意味が変わります。コツは、ひとつ。修飾語は、説明したい言葉の、すぐ前に置きます。それだけで、迷いが消えます。
見つけ方:二通りに読めそうな修飾語を見つけたら、かかる言葉の、すぐ前へ動かします。一語動かすだけで、意味が、ぴたりと定まります。
この三つは、どれも、書いたあとの見直しで直せます。主語と述語を抜き出し、長い一文を切り、修飾語をかかる言葉のそばに動かす——それだけで、一文は通ります。一文が通れば、文章は、もう半分、読みやすくなっています。