仕事を任せた。期限どおりに戻ってきた。ところが、中身が思っていたものと違う。

「ちゃんと言ったのに」と思います。たしかに言いました。しかし、言ったことと相手に伝わったことは、同じとはかぎりません。

「オムライスを作って」と頼むと、10人が10通りのものを作る

たとえば、10人に「オムライスを作ってください」とだけ頼んだとします。

卵でふんわり包む人もいれば、薄焼きの卵で巻く人もいるでしょう。中身はケチャップライスかもしれないし、バターライスかもしれません。大きさも味の濃さも、ばらばらです。

どれもオムライスで、頼まれたとおりに作っています。それでも、頼んだ人が思い浮かべていたものと同じになるのは、10人のうち1人か2人でしょう。

そこで、材料と分量、焼き方、盛り付けまで書いた紙を渡します。すると多少の差はあっても、ほぼ同じものが10皿並ぶでしょう。チェーン店がどの店でも同じ味を出せているのは、この紙があるからでもあります。

仕事を任せるときも、同じことが起きています。頭の中にある「できあがり」は、言葉にしないかぎり相手には見えません。

全部を細かく書くと、任せた意味がなくなる

まさのり君

そこまで細かく言ったら、口うるさいと思われませんか。自分で考えなくなりそうです

もちろん、何から何まで書いた紙を渡せば、ずれは減ります。その代わり相手は紙のとおりに動くだけになり、考える場面がなくなってしまいます。紙にないことが起きたとき、止まるのはそのためです。

だから、細かく渡すものと任せるものを分けます。必ず渡すのは、次の4つです。

  • 目的:何のための仕事か。誰が何に使うのか
  • 終わったときの姿:どうなっていたら終わりか。できあがりの見本があれば見せる
  • 外せない条件:予算、守る決まり、やってはいけないこと
  • 期限と、途中で見せてほしい時期:最後にまとめて見るより、途中で一度見るほうが直す量は少ない

やり方は、相手の段階で決めます。初めての仕事なら手順まで渡し、何度もやっている仕事なら、目的と終わったときの姿だけを渡してやり方は本人に任せる。同じ人でも、仕事によって段階は違います。

目的が分かっていれば、紙にないことが起きても相手は目的に照らして自分で決めます。任せるとは、この判断を相手に渡すことです。

渡したら、相手の言葉で言い直してもらう

指示を出し終えたら、「分かりました」で終わらせずに、一度相手の言葉で言い直してもらってください。

念のため、何をいつまでに、どこまでやるか言ってみてもらえる?

言い直してもらうと、ずれがその場で見つかります。「あ、見本は要らないと思っていました」。こういうずれは、戻ってきてからでは直す量が増えます。渡したその場なら、ひと言で済むはずです。

言い直しを聞いて、「そういえば、見本を渡していなかった」と、渡した側が自分の抜けに気づくこともあります。言い直しは、渡した側が自分の指示を見直す時間でもあるのです。

任せても、外に出すのは任せた人

任せた仕事が、そのまま外に出ていくことがあります。部下が作った資料をお客様に出す。後輩がまとめた数字を会議で使う。

このとき受け取る側に見えているのは、任せた人の名前です。誰が作ったかは、多くの場合、外からは見えません。だから外に出す前に中身を見るのは、任せた人の役目です。

戻ってきたものがずれていたら、本人に言う前に渡した指示を見直します。目的を伝えていたか。終わったときの姿を見せていたか。抜けていたなら、次に渡す紙に足してください。そうすると、同じずれは起きにくくなります。

指示を渡すときに使う型

まとめ

「オムライスを作って」とだけ頼めば、10通りのものが出てきます。目的と終わったときの姿と外せない条件を渡し、やり方は相手の段階で決める。渡したら、相手の言葉で言い直してもらう。そして外に出す前に見るのは、任せた人です。

次に仕事を任せるときは、頭の中にあるオムライスの写真を、一枚相手に見せてください。

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