やることが多すぎて、どれも中途半端になっている。手を広げるほど忙しさだけが増えていく。
そんなときに使える考え方が、パレートの法則です。
パレートの法則とは
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートは、1896年から翌年にかけて出した著書で、イタリアの土地の約8割を、約2割の人が持っていることを示しました。
のちに品質管理の専門家ジョセフ・ジュランが、この偏りは品質の問題にも見られると考えました。そして「全体の多くは少数の原因から生まれる」という見方として広めたのです。8割と2割は目安で、実際には9対1のことも7対3のこともあるでしょう。
少数に、多くが集まる
商売に当てはめると、次のような形で現れます。
- 売上の多くは、一部の商品から生まれる
- 売上の多くは、一部のよく来るお客様から生まれる
- 苦情の多くは、一部の原因から生まれる

売れている順に並べてみると、上のほうの少数に売上が集まっているのが分かるでしょう。
しないことを、決める
少数に多くが集まるなら、その少数に力を集めることができます。言いかえると、しないことを決めることです。
棚の小さい店は、何でも並べることはできません。よく売れる品を残し、売れない品は入れ替える。それを続けることで、小さな売り場でも売上を保っています。
仕事も同じです。やることを全部並べて、成果につながっている少数を見つける。残りはやめるか、まとめるか、簡単にする。しないことを決めると、大事な少数に時間を使えるようになるのです。
残りの8割を、軽く見ない
ここで気をつけたいことがあります。ジュランはのちに、この考え方を「重要な少数と、有用な多数」と言い直しています。残りは要らないもの、と受け取られないようにするためです。
よく来るお客様だけを大事にし、ほかの人を後回しにすれば、新しいお客様は育ちません。今は少しずつの売上でも、その中から次のよく来るお客様が生まれるのです。
人に当てはめて、決めつけない
この法則は、「働くのは2割の人だけ」と、人に当てはめて語られることもあります。
北海道大学の長谷川英祐さんらの研究(2016年)では、アリの集団に、ほとんど働かない個体が2〜3割いることが分かっています。ただしその個体は、怠けていたわけではありません。働いていたアリが疲れて休むと、代わりに働き始めました。休んでいる個体がいる集団のほうが、長く続くこともわかっています。

今は目立たない人にも、役割があるかもしれません。数字の偏りを、人の値打ちの話にすり替えないでください。
職場で考えると
人に教えるときにも、この考え方は使えます。
教えることが多すぎるときは、毎日の仕事でよく使う少数から教えます。めったに使わないことは、必要になったときに教えれば十分です。手順が増える一方なら、なくせる手順はないかを見直します。

まさのり君
全部教えないと、あとで困ると思っていました
この記事と一緒に使える型
- 4-1 パレートの法則:教えることが多すぎて、どこから教えるか迷うとき
- 4 先に教えることの順番表:教えることが多すぎて、どこから教えるか迷うとき
- 16-2 ECRS:教えることや手順が、増える一方のとき
まとめ
全体の多くは、少数から生まれることがあります。その少数を見つけてしないことを決めれば、大事なことに時間を使えるでしょう。ただし、8割と2割は目安で、残りの多数にも役割がある。人に当てはめて、決めつけない。
今週の仕事を並べて、成果につながっている少数と、しなくてもよいことを、一つずつ見つけてみてください。
