「今期は、売上を上げよう」。会議でそう決まっても、次の日から何が変わるのかははっきりしないものです。
売上は一つの数字に見えますが、いくつかの数の掛け算でできています。分けてみると、どこが弱いのかが分かるでしょう。
売上は、客数と客単価の掛け算
売上は、買ってくれたお客様の数と一人が払った金額を掛けたものです。
売上 = 客数 × 客単価
一人が平均1万円使うお店に月300人が来れば、売上は300万円です。
客数と客単価を、もう一段分ける
客数は、新しく来たお客様と前から来ているお客様を合わせた数にあたります。そこから来なくなったお客様が引かれます。前から来ている人が月に何回来るかも、客数に入る数字です。
客単価は、一つの値段と一度に買う数の掛け算になります。

分けると、売上を上げる道は次の五つになります。
- ① 新しいお客様を増やす
- ② 来なくなるお客様を減らす
- ③ 来る回数を増やす
- ④ 一つの値段を上げる
- ⑤ 一度に買う数を増やす
五つを、少しずつ伸ばす
一つだけを倍にするのは、むずかしいことです。新しいお客様を倍にしようとすれば、広告や人手も倍近く要るでしょう。
ところが売上は掛け算なので、それぞれを少しずつ伸ばすと全体は大きく動きます。客数と来る回数と一つの値段と一度に買う数を、1割ずつ伸ばしたとします。1.1を四回掛けると、約1.46。売上は、およそ1.5倍です。

新しいお客様より先に、穴をふさぐ
五つのうち見落とされやすいのが、来なくなるお客様です。
毎月100人の新しいお客様が来ても、100人が来なくなれば客数は増えません。底に穴のあいたコップに水を注いでも、たまらないのと同じです。

新しいお客様を集めるには、手間もお金もかかります。前から来てくれている人が離れないための工夫は、それより少ない手間で始められることが多いものです。まずは来なくなった人がなぜ来なくなったのかを、その人の側から考えてみてください。
五つの道と、それぞれの記事
五つのそれぞれについて、このサイトの記事を並べます。
- ① 新しいお客様を増やす
「必要」と「欲しい」は、別のもの|ニーズとウォンツとは
「いいものを作れば売れる」は、半分しか正しくありません
来てくれた人を、迷わせていませんか|導線とは、すでに使っている人ほど、話を聞く|見込み客とは、先に渡す:無料のシートを公開している理由|フロントエンドとバックエンドとは - ② 来なくなるお客様を減らす・③ 来る回数を増やす:忘れられないための接点|リピーターを増やす考え方
- ④ 一つの値段を上げる
「安くしないと売れない」を、疑ってみる
上を勧めるのは、押し売りでしょうか|アップセルとは - ⑤ 一度に買う数を増やす
「ご一緒にいかがですか」が、嫌がられないために|クロスセルとは - やることを絞るとき:しないことを決める|パレートの法則とは
数字だけを、上げない
五つに分けると、それぞれの数字が目に見えるようになります。ただ、そこには落とし穴もあるのです。
数字を目標にすると、数字だけが上がることがあるのです。値段を上げるために、要らない上位の品を勧める。一度に買う数を増やすために、使わないものまで付ける。その月の売上は上がっても、お客様は「うまく乗せられた」と感じて次は来なくなるでしょう。来なくなる人が増えれば、五つのうちの②が下がります。
五つの数は、お客様の役に立った分だけ動きます。数字が動いたときは、お客様にとって何が良くなったのかもあわせて見てください。
職場で考えると
この分け方は、売上のほかの数字にも使えます。
たとえば「新人の育成を早めたい」と言うとき。何を早めるのかを分けると、教える順番・一回に教える量・教える人の数・忘れないための振り返りの四つに分かれます。どこが弱いかが分かれば、全部を一度に変えなくて済みます。

まさのり君
「売上を上げろ」と言われても、自分の仕事のどこが関係あるのか分からなかったんです
大きな目標を掛け算や足し算に分けて、自分が動かせる所を見つける。売上の五つの分け方は、その練習にもなります。
この記事と一緒に使える型
- 14 数字の落とし穴を見つける表:数字は上がっているのに、人が育った手応えがないとき
- 14-1 グッドハートの法則:数字は上がっているのに、人が育った手応えがないとき
まとめ
売上は、客数と客単価の掛け算です。分けると五つの数になります。一つを倍にするより、五つを少しずつ伸ばすほうが全体は大きく動くでしょう。数字だけを上げず、お客様の役に立った分だけ動かす。
次の会議で「売上を上げる」と決まったら、五つのうちどれを動かすのかを一つ決めてから始めてください。
